Oranges and Lemons あきらめきれない教師たちのリアル
『あきらめきれない教師たちのリアル ロンドン都市裏、公立小学校の日々』の原著タイトルは『Oranges and Lemons』で、訳者後記によると、
Oranges and Lemons』はロンドンっ子にはごくごく親しい伝承童謡から取られていて、これを見ただけで英国の人びとには、これがロンドンの子どもたちにかかわる書物であるとすぐさま思い当たるということ
だそうです。
この本の舞台となっているイーディス・ネヴィル小学校は、サマーズタウンという街区の真ん中あたりに位置し、生徒の4/5は家庭で英語以外の言語を話すという移民地域ですが、生徒の2/3に給食費保障の受給資格が与えられているという貧困地域でもあります。ベンガル語とソマリ語を話す子が多いようですが、アラビア語やその他のアフリカ系・ヨーロッパ系の言語を話す子もいます。ベンガル語はバングラデシュからの移民によって話され、1970年代に多くのアジア人が流入してきたようですが、近年ではソマリア、スーダン、セルビア等の難民が多いようです。
邦題は、このような地域で奮闘する教師たちがリアルに描かれていることによるようです。
この本を読むと、英国の教育制度の概要を掴む事ができますが、全国一斉学力テストや学校監査等、英国では近年教育の中央統制の強化が行われていて、日本と似ている点が多いなと感じました。(子の無い身の私には日本の教育に関しては語る資格がありませんが)
ただ日本と違うなと思ったのは、
- 中央統制の強化の下においても各学校の独自性が強い
- 移民の文化に配慮した教育がおこなわれている
- 閉じた学校ではなく、地域コミュニティに役立つ学校をめざしている
等です。
イーディス・ネヴィル小学校の雰囲気は以下のサイトからも感じ取れます。