リヴォルノの幻 後日の話 ダーム・ギャラント ジュセッペ・ヴァージ
15篇のエッセイから成る内田洋子の「サルデーニャの蜜蜂」を読んでいき、最後のエッセイ「リヴォルノの幻」を読み始めると、冒頭に
二十年ほど前の話である。
春がまだ浅いある日、トスカーナ州の海に面した町リヴォルノへ向かった。日本の小説家から連絡を受けて、現地で落ち合う予定になっている。
「港町の刑務所へ面会にやってきた妻に、鉄格子越しに頬を寄せキスをしようと見せかけて、彼女の鼻を噛み切ってしまう男の話を書くつもりなの」
小説家は構想を語った。
とあります。
ん?、「これって、あの人のあの小説のことじゃないの?」
「リヴォルノの幻」を読むのを中断して、本を探しました。見つかりました。「後日の話」(買ったものの読んでいません、初版は1999年2月のようです)。本の帯には
斬首刑直前 夫は妻の鼻を噛み切った!
十七世紀 トスカーナの小都市で起きた 途方もない物語
とあります。
本の奥書には
[付記]
この作品は、ブラントームの『ダーム・ギャラント』の或る一頁との出会いから生まれた。
との記載が。「後日の話」を読み始めました。そして、『ダーム・ギャラント』の或る一頁とはどんな話なのでしょうか。この記事のタイトル中の「ジュセッペ・ヴァージ」は「後日の話」の装幀に使われている版画の作者(Giuseppe Vasi,. 1710–1782)でピラネージの師でもあるようで、これもちょっと気になる。