いつさん、ばらりこ、残り鬼

内田百閒の『私の「漱石」と「龍之介」』は百閒の漱石に対する畏敬の念と百閒独自の「ゆーもあ」があって大変interestingなのですが、この本の中の「漱石先生臨終記」の中に、百閒が東京の子供の遊び言葉を問う場面がでてきます。

「大勢電信柱につかまって、がやがや云ってゐましたが、何と云って遊ぶのですか」
「いつさん、ばらりこ、残り鬼と云うのだよ」と先生が机の上で節をつけて云った。

「いつさん ぱらりこ」なんて知らないよという事で、「いつさん ぱらりこ 残り鬼」で検索し(グッグっ)て見ましたが、うまくヒットしませんでした。昔の文書なので「いっさん ぱらりこ」かなと思い、再度検索。

「いっさん ぱらりこ」の掛け声での遊び、(地域によっては今でも)あるのでね。

「いっさん ぱらりこ」からちょっと脱線ですが、上の仁科幸子さんのサイトの記事の「さとうよしみ」さんは「犬のおまわりさん」を作詞した方で、「犬のおまわりさん」の作曲家は昨年(2018年)末に亡くなられた大中恵さん。

百閒の文章をよく見たら「ぱらりこ」ではなく「ばらりこ」でした。という事で「いつさん ばらりこ」で再度検索。なんと日葡辞書(1603‐04)に載っている言葉なのでした(「Issan(イッサン) bararito(バラリト) デラレタ〈訳〉一人も残らず全員が出た」)

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