地震は貧困に襲いかかる

新聞やTVの報道によると今回の震災の死者が1995年の阪神・淡路大震災の死者6434人を超えたという。

2008年に出版された「地震は貧困に襲いかかる」(著者:いのうえせつこ)という本があります。(この本の副題は『「阪神・淡路大震災」死者6437人の叫び』で6437人には行方不明者3人を含みます)

阪神・淡路大震災の死者6434人、行方不明者3人という数は2006年5月19日に消防庁が発表したもので、いのうえさんは「なぜ、阪神・淡路大震災の被害状況を確定するのに、11年以上かかったのか」という素朴な疑問から発した取材を進め、「阪神・淡路大震災の死者」の背景に見える「格差社会」や「都市の貧困」という問題をこの本に纏めました。

この本によると、上記の数字は神戸新聞の石崎勝信記者が2003年に死者の公式統計がない事に気付き、各自治体に問い合わせ、2004年5月に神戸新聞に発表したものが基になっているようです。それまでは1995年5月23日に消防庁から発表された「死者5502人、行方不明2人」という数が使われていました。消防庁の発表から9年近く経って死者の数が900人以上も増えているのは、地震が原因と認められる「関連死」も「災害関連死」として認めた事によります。関連死とは例えば地震直後には比較的元気で医師の診察さえ受けなかったのに、その後容態が悪化したり、入院した病院の停電・断水により病状が悪化したりし亡くなったケースです。

大災害と思った阪神・淡路大震災を遥かに超える今回の大震災、一度助かった命が「災害関連死」という不幸な結果にならないようにしなければなりません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です